"更年期を美しく健康に" 「ちぇぶら」とは?NPO法人ちぇぶらに取材
多くの女性を悩ませる更年期は、人生の節目と言えるほど大きな影響を及ぼす重要な時期です。しかし、理解を得るのが難しかったり、社会的なサポート不足感は否めません。
そんな中で、「ちぇぶら」は更年期に関する情報を、講演やユニークな方式などさまざまな形式で発信しています。
今回は、女性の暮らしナビ編集部がこの「ちぇぶら」について、NPO法人ちぇぶらに取材してきました。
「NPO法人ちぇぶら」とは?

NPO法人ちぇぶらは、「更年期の健康」をテーマに、女性特有の不調や男性更年期の知識・対策ケアを伝える活動をしています。更年期は英語で ”the change of life”といいますが、そこから団体名を「ちぇぶら」と名前をつけて活動しています。
ちぇぶらの目的や理念は何ですか?なぜこのような取り組みが必要とされているのでしょうか

NPO法人ちぇぶらは、すべての人が『その人らしい充実した日々を過ごすことができる社会』を目指しています。「更年期サポート」をはじめとした、女性の健康に関する社会問題の解決に取り組むという理念を持って活動中です。
ーーちぇぶらを設立した背景としてどのようなものがあるのでしょうか
更年期は女性にとって健康の大きな節目です。この時期には9割の女性が心や体に不調を感じているものの、社会からのサポート体制はほとんどありません。多くの方は、不調を**「ガマン」してやり過ごしている現状があります。
また、更年期は女性だけの問題ではありません。2022年の厚生労働省の調査では、男性の場合、40代の3割以上、50代では4割以上が「男性更年期」の不調を経験していることが分かりました。
そこでちぇぶらでは、「更年期の正しい情報」と「自分でできる対策ケア」を提供しています。
ちぇぶらの具体的な取り組み内容は何ですか?
主には、更年期の正しい知識と、体のケア方法をお伝えする活動をしています。おもには、女性の健康・更年期講座を開催する教室事業や、伝え手となる講師の養成に取り組む養成事業・イベントや執筆など更年期を広く伝える活動に取り組む啓発事業など、こちらの3つを軸に活動中です。
ーーどのような方に参加してほしいのでしょうか?ターゲット層を教えてください!

活動をはじめた当初は、更年期の不調の渦中にいる方に参加してもらいたいと思っていました。しかし現在は、更年期に悩む女性だけでなく若い世代や男性も含め、幅広い方を対象としています。まだ更年期になる前の年代の方や、当事者のご家族・一緒に働く職場の人など、更年期をとりまく周りの方々に向けても情報を発信しています。
というのも、企業・行政などで講座をおこなううちに、「本当は周囲にも分かってほしい、理解してほしい」という当事者の声がたくさん上がってきました。更年期は、本人だけでなく、周りの人も一緒に知ることがとても大切な課題なのです。
ターゲット層を拡大したのは、企業・行政からの依頼がきっかけでした。まずは、更年期に悩む方の周りの人たちが更年期に関する理解を深めていけるように、多くの年代層に向けた情報発信が求められているのです。
そのため、対象には女性だけでなく、男性ももちろん含まれています。2016年からは、男性更年期についての講座も開講し、参加者の悩みに合わせてさまざまなアプローチをしています。
ーーでは、養成コースに参加される方はどのような方が多いのでしょうか?
ご自身も更年期で辛い思いをした方をはじめ、ご家族が更年期で悩まれているという方・年齢的に更年期はまだでも将来に備えるために受講される方など、さまざまな方が参加くださっています。
また、助産師・看護師・薬剤師など、更年期世代と接する機会が多い方も学びに来てくださっています。日本だけでなく、アメリカやオーストラリアなど海外からの受講もあります。
ーー女性の健康・更年期講座の開催の具体的な内容についても教えていただけますか?

一生を通しての女性ホルモンの変化・メカニズムと対策ケア方法が楽しくわかる講座、「女性ホルモンと体のトリセツ」を開講しています。さらに「ちぇぶら体操」というエクササイズもおこなう参加型・実践型のセミナーで、更年期を快適に過ごすために体づくりの面からもサポートしています。
「更年期を心と体と向き合うチャンスにする」、「人生を楽しむ健康の土台を作る」というマインドを軸として、これからの人生をより豊かにするためのヒントやアイデアをお届けしています。
活動の現在の進捗状況や成果について教えてください!どのような影響や変化が見られていますか?
現在、約40名の認定講師が在籍しており、それぞれの地域で更年期サポートの講座を開講し、情報や知識をお伝えしています*。
また、全国各地の行政様や企業様から更年期や健康をテーマとした講座開催のご依頼をいただき、今では5万人以上の方がちぇぶらの講座を受講くださっています。
ーー各地域で活動されているんですね。具体的には、各地域でどのようなサポートをされているのですか?サポート内容に特徴・違いがあったりするのでしょうか。
当団体の認定講師は、「更年期」をテーマにした楽しい講座や講演会を実施しています。
加えて、保健師・助産師・看護師・経営者・美容家など、さまざまな特技や必殺技を持っていらっしゃる方も多いため、共通の講座のクオリティは保ちながら、講師それぞれが持つスキルや強み・個性を混ぜ込んだ講座になるように工夫しています。
実際に活動に参加された方の感想や意見にはどのようなものがありますでしょうか

ちぇぶらの講座をご受講くださった皆さまからは、「更年期のメカニズムを知ったことで漠然とした不安が解消された」「更年期が前向きになった」「運動を続けていこうと思う」といった、前向きな声が多く寄せられています。
更年期について考えるきっかけになったり、不安の解消を実感してくださっているようです。また、当事者だけでなく、一緒に働く仲間や家族が理解してくれることで、気持ちの安定や安心感に繋がっているというご感想も多くいただいています。
活動の将来的な展望や計画は何でしょうか?
女性の更年期サポートに加えて、男性の更年期に関するサポートも広めたいと考えています。
ーー男性にも更年期はありますもんね。現状の女性と男性の利用者比率はどれぐらいなのでしょうか?
今のところは女性が約8割と多めになっています。しかし、昨年度から男性更年期講座を希望する声が増えているのも事実で、今月は三重県では100人を対象に開講予定です。こちらの参加者はほぼ男性が占めており、男性からのニーズもあることがわかっています。
しかし、地域によっては女性でも講座参加が見込めないところもあるのが現状です。そのため、講座のターゲットは男性である場合も、男性のパートナーとして女性が参加できるような仕組みにしています。
男性更年期は、まだまだ認知度は少ないですが、「健康」は性別問わず大切なこと。「みんなが元気になってほしい」という思いを込めて活動を続けています。
活動の認知度向上や参加者の拡大に向けた取り組みはありますか?広報活動やキャンペーンなど、実施されている活動について教えてください
ーーSNS運用が活発かと思いますが、今後も実施・拡大をしていくのでしょうか?また、感じていらっしゃる影響について聞かせてください!
SNSの影響は非常に大きいと思っているので、引き続き継続していきたいです。以前実施したオフラインイベント、「ちぇぶらカフェ」の参加者にもVoicyを聞いていた方がいらっしゃいました。
SNSで発信することで、やはり 講座を見つけてもらいやすい・検索したときに目に入りやすい・人と繋がれるなどのメリットを感じています。そのため、SNSを活用した発信活動は非常に重要だと考えています。
やはり現代のSNSは偉大ですね。ちなみに、ちぇぶらカフェとはどんなイベントなのでしょうか?
「更年期を楽しく知って、つながる場」として開催しています。堅苦しくなりすぎないように意識していて、更年期周辺で起こることについてのテーマを決めて、専門家のお話も踏まえながらみんなで語り合うといった内容です。
悩みや不安も話せる場にしているので、知識を得るだけでなく、抱えている不安を相談できたり、人と繋がれたりする場所だといえるでしょう。コミュニティや居場所の役割も果たせたらと考えています。
今回はありがとうございました。それでは、全国の女性に一言お願いいたします。
更年期で悩まれている方へ

更年期には必ず終わりがあります。症状が辛いときは、終わりのないトンネルに入ってしまったような気持ちになるかもしれません。しかし、更年期以降の10年間は「黄金期」と呼ばれ、心も体もエネルギーに満ちる時期が必ず来ます!ですから、心と体と向き合い、一緒に頑張っていきましょう。
よく女性はサーファーのようだと表現されます。性ホルモンの「波」に乗るのは本当に大変ですよね。気持ちが落ち込んで自分に自信を無くしてしまうことや、自己嫌悪に陥ってしまうこともあるかもしれません。しかし、それは絶対にあなたのせいではないということを覚えていてほしいと願っています。
更年期に悩まれている方の周囲の方へ
辛い症状を抱える人の周りにいる人は、「どうするべきか、何をしてあげられるか」と悩むこともあるでしょう。
まずは、更年期を知ろうとしてみてください。更年期の体・気持ちの状態について理解があると、話を聞いてもらうだけでも、当事者は救われます。
ちぇぶら事務局様から最後に

ちぇぶらは、「健康」という大真面目なことを発信しているからこそ、楽しくユーモアを持って面白く伝えていきたいと強く思っています。
更年期あるある川柳・漫才・コントなど、さまざまなユーモアを通し、更年期についての理解を楽しみながら深めてもらおうとチャレンジしています。実は、M-1グランプリにも出ているんですよ。
更年期について楽しく知ってもらうことで、「更年期を話題にしてもいいんだ」「身構えすぎなくていいんだ」ということを私たちなりに伝えていきたいと思っています。
